スピードが重視され目まぐるしいこの時代に逆行しているかもしれません。
でも、良いものは一朝一夕には出来ません。
徳島県の無形文化財となっている阿波正藍染の現場でも感じましたが、革一枚一枚を丁寧に何回も繰り返して染めるからこそ、海外から安いインディゴ染が入って来ても変わらず価値を落とさず続いている本物の凄さ。
藍染は全国各地にありますが、どうせなら国が認めた唯一無二の「阿波正藍染」を使わせて頂きたいと思って現在に至っています。
同じくそちらでお願いしているのが松を燃やした煤から作られた墨で染める「阿波松煙墨染」。
こちらも同様にアナログな手法で時間をかけて染められています。
そちらで出来たバッグはこちら。
存在感が抜群です。
また、素材に限らず機能や造りにはじっくり時間をかけます。
画像の財布の内装もこの形になるまでには、何回も試行錯誤を繰り返しています。
こちらも同様にこの親指をかけるエグリだけでも何度も試作しながら形にし、完成した後もマイナーチェンジをしています。
効率やスピード重視もとても大事な要素ですが、最終的には自分も納得出来て、尚且つユーザーさまにも使ってから、なるほどなと思って愛着が湧くようなモノを目指すにはどうしても時間がかかるのです。
結果、遠回りは意外にも近道かもしれない。
ただし何でもかんでも遠回りすれば良いもんではないし、きれいごとばかり並べるつもりもありませんが、古来から続いている皮革製品のモノづくりは奥が深く、やはり時間は要すると実感しています。
試行錯誤はまだまだ続いていきます。
それもまた愉しみの一つです。